【邦楽名盤のススメ】その11 bloodthirsty butchers『kocorono』

【邦楽名盤のススメ】その11   bloodthirsty butchers『kocorono』

邦楽名盤のススメ

売れた=名盤 ではない。名盤は人の数だけあるはず。

今回はbloodthirsty butchersから『kocorono』です。

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bloodthirsty butchers『kocorono』

bloodthirsty butchers(ブラッドサースティ・ブッチャーズ/通称「ブッチャーズ」)は北海道出身のロック・バンド。

1990年に1stアルバムをリリースし1992年頃になると活動の拠点を東京に移している。その後もリリースを重ね精力的に活動していましたが、2013年に吉村秀樹氏(ボーカル/ギター)が急性心不全のため逝去。46歳という若さでこの世を去ってしまった。

僕がブッチャーズを聴いたのは後追いも後追いで、吉村氏が亡くなってからのこと。しかも亡くなっていたことなど知らずに聴き始め「スゲーいいバンドに出会えた」と思い、これからの活動を追ってみることに浮き足立っていたほどです。でも吉村氏の「死」という現実をすぐに知り愕然とした。

ずっと追ってきたファンからすれば、吉村氏と共にブッチャーズを失った悲しみはとてつもなく大きかったと思う。それまでに名前は知っていたけど聴かずに過ごしてきた僕でさえ何とも言えない悲しさと虚しさを本当に感じた。

吉村氏の歌声は暖かい。決して歌が上手いタイプのボーカルではないと思う。だけど人を惹きつける特別な何かが宿っている気がする。そしてギターサウンドやプレイもまた然り。メジャー感のない極めてインディーズらしいバンド・サウンドでありながら、そのカッコ良さと言ったらない。

例えばロックが好きな人で、このサウンドや曲を聴いて何も感じない人などいるのだろうか。そんな風にさえ思ってしまう。

同じようにファズを効かせたサウンドや曲の持つ雰囲気からダイナソーJr.やソニック・ユースが引き合いに出されますが(個人的にはヨ・ラ・テンゴにも近いスタイルを感じる)、歌が日本語であるだけに(歌詞もいいですよ)よりストレートに伝わってくるし、ブッチャーズならではの哀愁感が胸を突く。ときに激しく感情を揺さぶってくる。

そして今回取り上げるのが4thアルバム『kocorono』

ブッチャーズのすべての音源を聴いたわけではないですが、日本語ロックの金字塔として語り継がれる名盤『kocorono』はやはり凄かった。

こう言っちゃなんですが、ブッチャーズを紹介するのに、名盤はこれ!と選定する必要性はないと思ってます。どれもが名盤とは言いませんけど、どれもが聴く価値のあるアルバムだとは思うから。

ただブッチャーズを知らない人にまず薦めるなら『kocorono』であるだけです。

このアルバムは1曲目が「2月」で始まり「12月」で終わりを迎える、11カ月の心象風景を綴った物語。(「1月」を追加した完全盤やボーナストラックが追加された最終盤もあり)

まずオープニング「2月」からいきなり漂う哀愁感にグッときてしまう。アコギ、ノイジーなアルペジオ、クリーンなアルペジオ、荒野をさまようかのようなリズム、そしてファズの効いたギターが泣く。泣く。泣く。不安定な音階を行き来するサウンドに酔いしれる。

続く「3月」のアップテンポなイントロの爽快感には拳を突き上げたくなる。ロックを好きで良かったと思える、ブッチャーズを知って良かったと思えるアンセム・ソング。

もうこの2曲目までで、なぜこのアルバムが名盤として称賛されているのかは充分に分かる。

「4月」も「5月」も「6月」もいい。

そして9分にも及ぶ長尺曲「7月」の後半部分ではブッチャーズ・サウンドのハイライトとも言える圧巻のバンド・アンサンブルを堪能できる。ノイジーな音の洪水に飲まれ、頭ん中グルんグルんになって、なんだか泣きそうになって、消えてしまう。感情を揺さぶる音楽ってこういうことなんだと思う。

ここまで聴くと、吉村氏の「歌」の虜になっている自分に気づく。なぜこんなにもこの人の歌声は切ないのか。そして心に響くのか。

以降も何も変わらない。

荒々しいサウンドと優しさを感じる歌声。ノイジーなのに哀愁漂うメロディやフレーズ。そのすべてが素晴らしい。

これを名盤と言わないのなら、何を名盤と言えばいいのだろう。

知っている人からすれば、何を今さらと思うでしょう。

ロックファンは必聴であり、すべての人に聴いて欲しい最高なアルバムです。

 

-邦楽名盤その11- bloodthirsty butchers『kocorono』

 

 

 

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